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Ava's Demon Chapter Six 和訳

 今回、Chapter Sixを訳して改めてGilとNevyの境遇の一端に触れました。何とも切ない、何とも悲しい境遇……。現時点での最新話Chapter Twenty-FiveではGilとNevyの会話があるのですが、このChapter Sixをきちんと押さえておかないと、会話の重要性、真に迫る感情が判らないなと思いました。

 拙訳では不十分化と思いますので、ぜひ皆様におかれましては言語に触れて、ご自分で理解を深められることをお勧めいたします。が、恐れ多くもこうして公開させていただきます。備忘録でございますので、なにとぞご容赦を。

 最新話ではGilとNevyしかり、AvaとOdinの互助関係が生まれたり、またOdinの家族関係が明らかになったりと、かなり注目エピソードがそろってます。話がグイグイ進むにつれて、繊細かつ美麗な画風も迫力を増し、ますます目が離せません。

 

 前置きはこれくらいにして、いつものやつ。

 公式サイトは以下で、本編もそこから読めます。

 Ava's Demon

 

 Chapter Six
406 「世界が真っ暗になった。でも光が見えたのはすぐだった。」(二文目意訳「しかし、私は光を見たのはずっと前ではありませんでした。」となるが、野暮ったいというか意味判らん)
408 「タイタンの兵士がぼくを救ってくれた。」
409 「生まれ変わったようだった。」
410 「軍隊はぼくを育ててくれた。ぼくはタイタンで一番の全寮制学校に入った。」
411 「彼らと過ごして勉強していくのは目が開くようだった……」(Eye-openingは「何かをきっかけに考え方が変わる」といったような意味らしい。まあニュアンスは伝わるかな?)
412 「ただし……」(Exceptは「~を除いて」とか言う意味。意訳とかではないもうこれはおれの独断と偏見)
414 「ただしって……ギル?」
416 「大丈夫ですか? 以前にお見かけした気がします。でも……この惑星では見かけない姿だ。」(前に会ったことがあるように思う・あなたの姿はこの惑星では独特だ、が直訳)
417 「迷ったんですか? お名前は?」
418 「喋れ……ないの?」
419 「泣かないでください! 怪我しているなら助けるから! タイタンが助けてくれる!」
420 「彼女、怪我してるみたい! お医者さんに連れてった方がいいと思うんだけど!」
422 「冗談だよね?」
424 「ぼくを……ぼくを除いて……」(412に出てきた言葉を継いだ台詞だと思われる。前出のExceptと合わせて一文になるようにした。勝手に)
425 「タイタンフォロワー試験」(直訳すると、タイタン産業信者エントリー試験)
427 「失格者は天国へ行けない」(Get intoは「受け入れられる」という意味もある。Gilにピッタリな標語に思える)
428 「試験時間」「ルーン・プルディス」(ルーン・プルディスは名前。隣席のタイタンの信者だろう。プルディスはPrudish=淑女ぶる・とりすました、という意味の単語を変形させたものか。Looneは不明だけどloonは愚か者、loneは孤独な、という意味で、それらを意識した名前かもしれない)
429 「お、面白いですね。参考資料にはなかった分野の問題がある……。考えたんだけど、も、もしよかったら、ちょっとだけ……助けてくれない?」(直訳「読み物ではカバーしてなかった」となるが、意訳。)
430 「このテストが簡単に出来なかったら、合格は諦めた方がいいわね。だれもがタイタンの楽園に向いてるわけじゃない……特に怠け者には」(「落第の運命を受け入れるべきね」を別の言い方に変えてしまった。あとcut out forは「~に向いてる」って意味らしい。へ~)
431 「ぼくは違う! 毎日勉強をしたんだ!」「エヘン!」(the material for daysてどういう事? 大意は合ってる気がするけど)
432 「シー……」
433 「失格だ……」
434 「また……」(not againはうんざりした感じのニュアンス)
435 「どうして今日に限って……落ちる……ぼくは落ちるんだ……消えろ、消えろ……現実じゃないんだ、消えろ……」
436 「ぼくはおかしくない……おかしくない……」
437 「消えろ、消えろ……」
442 「な、なにを……」
443 「これ……答え……?」
444 「みんなのを見て……」(直訳「全部を集めて」)
445 「100%集めて……ぼくは、フォロワーだ……」
446 「終わりました! 100点! 合格しました!」「ギル、他の生徒の前で答えを振り回すな」
447 「はい、すみません」
448 「どういうこと、ギル? ギル……?」
450 「さっきは助けてくれてありがとう……」(原文、完全に訳せず。これでいいのかな。help 名詞 outで~を援助する。)
451 「ぼくも君を助ける。もし喋れるなら……教えてほしい、何をしてほしいか」
452 「多分君は現実にいない、そうでしょ? ぼくの頭のなかにいるんだ」
453 「もし君のことフォロワーに話したら……ぼくを失格にするだろう。どういうことか判る?」
454 「‘フォロワーにふさわしくない’ってことさ。ぼくを放り出すだろう。どこにも行けない。天国になんか到底無理だ」(「天国に到達できないだろう」を意訳。)
455 「死ぬよりも悪いことになる」(直訳「死ぬより悪い運命だ」)
456 「でも……たぶん……ぼくら一緒なら」(直訳「ぼくらが一緒に働いたら)
457 「ぼくらも良い方へいけるさ……でしょ?」(直訳「ぼくら自身をなおす道が見つかるだろう」fix ourselvesが綺麗に訳せない。でも、すごい大事な言葉ってのは判る)
459 「あー、はい。ギル……マーヴェルデ」(Gilはギル、一般的な男性名。Marveldeに関してはAva's Demonのウィキが詳しい。ちなみに彼に憑く悪魔であるNevyはEnvy=嫉妬のアナグラムだという指摘もあり、なるほどとなった。)
460 「今日はなぜここに呼ばれたか判る、ギル?」(直訳「ここにいるか知ってる?」)
461 「はいマダム。……ぼくの今後について」(直訳「僕の昇進についての話し合い」)
462 「ファイルには、私たちの医療プログラムに興味があると。医者はエリートのものです。エリート中のエリートのものだ。」(直訳「医者はエリートの地位を握る。その地位は一番中の一番のものだ」)
463 「トラブルメーカーにはその余地がないってことだ、マーヴェルデくん」「……」
464 「クラスメイトの何人かは、最近になって君が破壊的になったと報告をしている。彼らによると、きみはチームプレイヤーではないとのことだ。徹底的な話し合いをする代わりに、君一人で行ってしまう」(前半部はととのえたけど、大意は外れてないはず。後半合ってない気がする。ちなみにGoogle翻訳では「彼らはあなたがプレイヤーではないと言います;あなたは他の人たちの代わりにあなた自身と完全な会話をすることさえしているのにあなたは行ったことさえあります。」)
465 「ちょっと、ぼくが信心深いのはご存知でしょう。彼らはぼくの献身に嫉妬しているんです」(you see i just~はこれでいいんでしょうか。)
466 「……そうですか」
467 「では……答えてください……そもそも何故医者になりたいんですか?」
468 「ぼくを助けてくれたように、フォロワーを助けたいだけです……それと……」
469 「それと……それと、タイタンの栄光のために!」
470 「というか、ソルジャーになりたくないだけでは? それとも戸別に行きますか?」(door to doorが何を指すのかまったくわからん。営業とか布教活動って意味か?)
471 「お願いです……ソルジャーはやめてください。お願いします、ぼくは医者になるために生れたんです。いまこの瞬間のために一生懸命働いてきたんです。ぼくには医者になる才能があるんです。完璧な生徒じゃないですか!」(ニュアンスを変えてるところがある。「ぼくは完璧な生徒だ」とか、他細かいところ。もしかしたら大まかに間違ってるかもしれないけど)
472 「成績は十分です、確かに……」(直訳「あなたの成績は十分です、わたしは思う……」)
474 「今週から八ヵ年プログラムを開始します」「あ、ありがとうございます、プリンシパル・ヴィア。タイタンのご慈悲だ」「購入すべき書籍のリストは後程メールでおくられてくるでしょう」
475 「安い書籍ではありませんので、節約していることを願っています」
476 「ああ……これだ! 割り振られたすべての科目を修了するまでここに住むんだ」
477 「そして、この計画で……8年後、ぼくは医者になり、ぼくらは社会に受け入れられる。でも、できなかったら……タイタンに答えを探すんだ。彼は全知全能なんだ!」(やっぱりfix usが上手く訳せない。でも意図としては「社会に適合するように、いまの自分が治る」「独りぼっちの自分が治る」というニュアンスがあるように思う)
478 「どちらにしろ、なんでぼくにしか見えないんだろう、意思疎通が出来たら調べられるかも。それと……あと、無事にお家に帰さなくちゃ」(ここ割と雑。こんなかんじじゃないか?)
479 「……お家?」
480 「わたしは……お家から連れ去られてきた気がする」(ここのNevyかわい~)
481 「人生も奪い取られた」(take fromだけど、意訳するとこう。まあtakeやしいけるやろ)
482 「でも、どんな? どうして思い出せないの? 頭がぐるぐるするの、止まってほしい。」「名前は……思い出せる?」
483 「ネイヴィ……だと思う。名前がわたしの持ってるものすべてよ」
484 「ギル? ギールー? ねえ、ちょっと、ギル!」
485 パチン、パチン、パチン! 「あ、うん、ごめん。どこまで話したっけ……」(Where was Iで「どこまで話したっけ」という言い回しらしい。へ~)
486 「家族を失った後、フォロワーが僕の家族になったんだ。ぼくは医者になりたい。そして――」
487 「ギル! わたし話したいことがあるの」「――僕を助けてくれたように、フォロワーを助けたい」
488 「おそらくぼくは楽園に行ったことがある」「‘楽園’って?」「ギル……恋していたことを思い出したわ。その気持ちを思い出したの」
489 「ギル! 聞いてすらいないの? 大事なことなのに!」「楽園はタイタンの家さ! 最もエリートなフォロワーだけが、長年の奉仕への報酬として住むんだ」
490 「そこには宇宙の無限の知識がある。エリートフォロワーはそれぞれ、彼にひとつだけ質問ができるんだ。」「ちょっと彼女に席を外してもらったらすぐ話せるんだけど」「ぼくはそこへ行きたい……一生懸命働けば、質問はできるんだろうけど」(Nevyの台詞意訳。直訳「数分彼女が去ったらことを話せるんだけど」。後半のGilの台詞もちょっとニュアンスが変わってるかもしれない。)
491 「何を質問するの? 母星について? それともご両親のこと? きっとご存命よ」
493 「わからないんだ……何を訊きたいか。そんなこと考えもしなかった」(わからない、これでいいとは思うが……)
494 「質問はひとつだけって、すごく緊張するね……。あんたの学校は何であんなにガンバっちゃってるんだって訊くかも、わたしなら。」(めっちゃアレンジしてるんだけど、ニュアンスは合ってるんじゃないかな~)
495 「あー、なるほど……ぼくはもうちょっと考えた方がいいんだろうね。ところで、質問していいかな、きみたち3人について。お友達は一言もはなしてくれなかったし……名前も……」
496 「アヴァ……」「ああ、そうか、アヴァね」「まだ生きてるの……?」「洗面所にいるよ。もし疑うなら……」
497 「なるほど……すべての人々よりもバカが生き残るのか……」「きみとアヴァ……友達じゃないの?」
498 「まあ、タイタン再教育惑星のクラスメイトだけど……友だちじゃない」「えり抜きのタイタン再教育スクールでの出会いだなんて素敵だ。とはいえ……最悪だなんて」(thoughの知られざる用法を知った。まあ~だけど、という嘆息まじりの表現にもつかうらしい。へ~。あとGil最後の「suckedってどこの台詞のこと言ってるんだろう。読解力なし男です)
499 「ああ、うん……実際には行きたくって行ってたわけじゃない。タイタンが最後の惑星を買い取って、みんな移住させられたの。彼の仕事を学ばせる学校で、惑星中の子供を飼ってたんだよ。まあ、誰も興味なんてなかったけど。最悪で退屈だった」(前項のchoseとかかってるのはごらんのとおりだが、訳をどうしていいか判らなかったのもごらんのとおり。このページの台詞意味判るんだけど訳そうとすると難しい)
500 「あ、あなたの学校は最高によさそうだけどね!」「それで……三人で脱走してきたの?」「ち、ちがうの……これ、ホントにあったことなんだけど……」
501 「あそこにいる男……名前はオーディンって言ったかな。わたしたちクラスにいて……で、気付いたら彼の船にいて、話を聞くならわたしたちを助けるためだって。言うには、わたしたちの宇宙はスカベンジャー達に襲われたって、でも……」(ここから飲酒後の訳です。もう、ニュアンスでしかない)
502 「スカベンジャー! 聞いたことはある。ご家族は無事なの?」「言ったように……すべての子供たちは隔離された場所に住んでた。アヴァと私も親から離れて、学校に育てられてたの。あれから二人と会ってないから……」「ああ……そっか」(I should have known~=もっと知っとくべきだった、を意訳。we haven't seen them since=あれ以来彼らと会っていない、となるが、彼らは両親のことだと思うので、二人とした。もしかしたら二人じゃないかも、まあ適宜)
503 「きっと、タイタンに大事にしてもらってるよ」「ああ、まあ……たぶんね」

 

 

 と、Maggieとの会話からGilの過去が回想される構造。Gilというちょっと謎の青年って感じのキャラから、突然卑近なキャラになった気がします。社会に受け入れられてない、というコンプレックスがあり、純粋さと、純粋さゆえのずるさもあり、さらに自らを孤独へ……。

 Nevyの過去はいまだ判りませんが、まるでGilに共鳴するかのように、薄暗い淵を下っていきます。ふたりは、8年間も孤独にこの小屋にいたのですから。そのことを考えると、切なくて、やるせなくて、でもかけがえのない「穏やか」な日々だったろうと思います。競争する相手も、比較する相手もいないのですから……。

 Maggieの口から世界観が伝わってくるのも見逃せません。Avaたちは親と隔離され、タイタンの学校区で暮らしていたようです。ではその間の生活はどうしていたのか……? というのはのちのち出てくるでしょう。大変気になります。