職ありオタク

がんば

Ava's Demon Chapter Eight 和訳

 割とストレートに、Avaの感情が掘り下げられた回だと思います。

 Chapter Sevenから引き続き見ていただければわかると思うのですが、AvaとWrathiaとの会話、また後半のOdinとの会話から、パーソナルなところが漏れてきています。歳相応に子供っぽいところ、どこか肝が据わったところ……そういう細かい感情がたくさん集まって、Avaというキャラクターが形作られます。この回は、読者の中のAva像をより詳細にするものだと思います。

 もちろん、いつもの絵画的描写は健在です。こちらについては、一度きちんとごらんになられてからの方がよいでしょう。

 この回は難しい英語表現も少なかったように思うので、原語で見られて、美麗な絵もじっくりと鑑賞なさるのが良いと思います。

 以下は公式HP、作品もここから見ることができます。

 Ava's Demon

 

 Chapter Eight


606 「ある時ね、アヴァ……自分を信じるために、宇宙で唯一のひとっていうふりをする必要がある。ある時……自分への自信って言うのは一番説得力のある論拠になるのよ。たとえそれがこじつけたものでもね。」(confidence in yourself is the most convincing argument you can make. even it's forced.に自信ないけど、というかスマートに出来なかったけど、まあこういうことじゃないのか。)
607 「しばらく‘ふり’が出来るかしら」「やってみる……」「グッド」(じつはこのGoodとかって難しくて、日本語にはないリズム感みたいなものがあるので、もうこのままグッドでいいでしょうとなった)
608 「さて! ものすごい力をあげたんだけども見てちょうだい! すでにちょっと体験してるだろうけど……。」「ええ。感動がマジで嘘みたい」(どっちも不安な訳。とくにAvaは直訳が「私はそれが誰かを感動させることを真剣に疑います」となる。けどwould thatがキモっぽくて「まじで疑う」would that「誰かを感動させる」なので、直訳のを砕くと「誰かを感動させるってのが疑われる」のようになる? その感動は前頁のAvaのことを指してるのでは? と思い、このような訳になった。)
609 「いまじゃないけど……わたしがあげたガラス瓶を見た?」「え、ええ、ボトルのこと?」「どれか一つを飲めば、あなたも知らなかった力が目を覚ますわ」(最後の台詞、ちょっと綺麗に整えた。ホントは「それらのうちの1つを飲むと、私はあなたが持っていたことを決して知らなかったというあなたの中のすべての力を目覚めさせるでしょう」となる)
610 「いくつか渡したけど……あなたの人生にはそれで十分なはずよ。緊急事態には救ってくれるわ。フォロワーたちの力は侮れない、そしてこれには宇宙で最も強いヴェンジスの力がある、わたくしのものですが」「一番強いのって?」「わたしはヴェンジスよ。おバカ。……わたしの種!?」「あう……すいません、女王様……」(大意は合ってると思う。yours truly.は冗談といくかおどけたときにも使うらしい。この場合は妙に恭しく振る舞う冗談っぽく)
611 「あなたの兵士もみんなヴェンジスだったの?」「ペドリ以外は違うわ。それぞれの宇宙や種の向こう側。わたしとは全然違う……。とにかく、覚えてるだけで……」(Wrathiaの二文目不安……)
612 「その中のだれかを見つけたと思ったら……何かする前にわたしに教えて!」「ね、ウラシア……あなたの兵士……あなたのこと好きだったの……?」
613 「なっ!? 当たり前でしょ!? 好きよみんなわたしを! 何バカなこと言ってんの!!」
614 「わたしが女王だった間、わたしのこと好きじゃない奴なんて、生き残れてないわ! いい!?」
615 「あなたの名前を出した時、彼らが歩みよってくれるかビビってどっか行くかを知りたかっただけよ」(直訳「私はちょうどあなたの名前に言及することがあなたの戦士に私たちの側を取るか、それらを怖がらせるのかどうかを知りたかっただけです。」)
616 「兵士はみんなわたしを崇拝してるわ!」「アヴァ? そこで大丈夫?」
617 「ハア……倒れてないなら教えてくれないかな……」「わたしの歩いた地面もあがめたのよ! 聞いてるの!」
618 「この生きものはもちろんボトルに沈み……」「おいおい……ボトルが何したっていうんだ!?」(ここ全然日本語だと意味判らなくなってしまう。何も判らない)
619 「ギル……すぐに出なくちゃ……時間通りに行かなくちゃ、本部はライセンスを発行してくれないわ。タイタン医療施設へのフライトを逃してしまう。」
620 「彼らを世話するのってそんなに大事かしら……。医者になるのは来年まで待たなくちゃいけなくなる。」
621 「ネイヴィ、ぼくはタイタンの剣に誓ったんだ。何が何でも、今日免許を取りに行くんだ」(the last thing i do=なにがなんでも、とのこと。なるほど。)
622 「アヴァ! 五つ数えたらドアを開けるか、入っていくからね……1」
626 「うぅ!」
628 「それにこんな話してたら、アヴァ、鍵を失くてわたしたちくたばるわよ!」
629 「わかったわ、さようなら」
630 バタン!
631 「あら、壊れちゃった。残念」(what a shameの訳し方はちょっと迷っていて、辞書には今回のようにある。ニュアンスとしては「あ~あ」っていう落胆がこめられているんだろうけど、Avaの気持としては「まあいいや」って感じだと思われる。難しい)
632 「かくれんぼの時間ね……大量の死んだエイリアンと一緒に」
633 「どうして自分にこんなことするんだろ? なんで次こそは良くなるって思ってるんだろう……全部どん底の最悪な時に」(かなり口語調にした。)
634 「お人よしってやつね。星屑になるのは今までで最高の展開だったわ」(直訳すると「最高の決断」だが、固いのでこのように。あと前との訳と整合性をとるために)
646 「もし醜いエイリアンなら……」
647 「……わたしの亡霊って……」
648 「……どんなだろう?」
649 ツルッ
651 「わーっ!」
652 「いたたたた……」
653 「な、なあ、密航者……」
657 「ヤバいな……」
658 「ド、ドブかなんかに着陸したのか?」
659 「ち、ちょっと待って……ここで何か見てんのか……」
660 「何でもない!」
661 「じゃあね!」
662 「うお、ちょっと待て!」
663 「降ろして!」「何がだ? お前人間だよな?」
664 「ちがう! クソヤバいエイリアンだからあんたの目を引き抜いてやる! 早く放して!」
665 「待ってろ……」「まじで言ってんの!?」
666 「その胸のはな、なんだ?」「なんだってあんたには関係ない!」「痛そうだけど……」
667 「し、写真だけ……撮ったら降ろすから……まだ動くなよ……」
669 「怪我はないのか!?」「人さらい! 忘れたなんて思わないで」
670 「お、お、おれは君のお友達の命を救ったんだぜ」「あんたはわたしの友だちをさらって、他に誰も救ってない……ヒーローみたいなことしてあの子にいいとこ見せようってことなんでしょ!」「ぜ、ぜ、全然違う!」(Avaの台詞変えてる「いいとこ見せよう」は「彼女を好きにさせる」となる。日本語にすると別の意味にとらえられそうなので、こうなった。最後のOdinの台詞も「真実じゃない」だがこうなった)
671 「それにあんたは他のひとみたいに、わたしを月へ独りぼっちにして死なせるつもりだった……」「君はレンチでおれのこと気絶さ、させるつもりだっただろ」
672 「それに君のことはこの惑星において行くつもりだった! 君は追い出すつもりだった……ぼくの安全のためにね。殺す気なんてなかった」
673 「うう……わたしには一番にやんなくちゃいけないことがあるのよ! だから降ろして、そしたらもう会うことないんだから」「やることって? おい待て、足を動かすなよ……」(take care of=大事にしてる、だが……)
674 「それとも……」バキッ
675 「うわっ!」
676 「くそ……」
677 「今日で二度目の墜落だ」「三度目」
678 「か、数えてんのか? みじめっぽいな……」(kind of sadはほぼ直訳。悲しいとか、寂しいとか、みじめって意味のどれかだと思うんだけど……)
685 「こ、これ」
686 「背中の方はや、破れてるけど、前は大丈夫……えっと……き、きみのやるべきことよりも、まず必要だ、ってね……おれよりもき、きみが使うべきだ」
687 「ありがと」
694 「楽しいか?」
695 「あ! ごめん……」
696 「どうして普通のひとみたいに指につけないの?」「あ、合わないんだ」

 

 リンボレンズをつけた後の描写など、かなり綺麗ですよね。ファンタジーな世界観がAvaにまといつく……これから孤独な戦いがあるんじゃないかと思わせる女の子を包む世界が、このように美麗なものだと、思わず頑張れと応援したくなります。

 もう、じっくり読んでいると、Avaのことを応援せずにはいられませんよね。彼女の救済はどこにあるんでしょうか。切なくすらなります。

 ネットにあるAvaのイラストで、どこか力強い印象のあるものを見かけると、母親みたいな気持ちになって「Avaちゃんかわい~! がんばって!」とか言ってリツイートしてしまいます。