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『人生はビギナーズ』感想

 なんでこういった感想とかを書きはじめたのかなと思い返すと、観た映画の感想を調べて、ほとんど面白い感想が出てこないから始めたのだった、思い出した。あとマイク・ミルズ映画は名作のはずなのに☆4つとかつけられてて「いや☆5つ以外ありえんやろ」とキレる毎日だったので、マイク・ミルズ及びウェス・アンダーソンをほめちぎるために始めたのだった。

 

 

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 この映画は個人的にまずトップ5には入る好きな映画で、『サムサッカー』と同率2位かもしれない。1位は『ロイヤル・テネンバウムズ』。

 まずこの映画の特徴は構成で、それは言葉では説明し辛いので、あんまり詳しくは説明しない。まず最初から時系列がバラバラのシーンが入り乱れるので、戸惑ってしまうのだけど、やがて理解出来るようになってきて、それからはこの映画に寄り添うように観れるようになる。父が生きていた頃のシーン、現在のシーン、子供の頃のシーン、さっきのシーンのその直後、それらがパッパと切り替わるので、すこし優しくないが、しかし突き放してもいないので無理なく観ることができる。ここのさじ加減はひとによって違うので難しいが、自分は初見で観れたので、まあ観にくいことはないんだろうと思う。

 あとはマイク・ミルズ監督自身がグラフィックデザイナーということもあって、画面構成、使用される写真が非常に綺麗。観てて飽きないしくどすぎない。

 それとやっぱりストーリーと人物像が調ってる上にいま風で、若者代表マイク・ミルズファンとしてはあざま~すという感じがある。それに『サムサッカー』におけるジョエルのような存在、犬のアーサーから、マイク・ミルズ色というものが感じられてよい。恋人同士の間に必ずいるアーサーは父の忘れ形見。つまり主人公の持つ、父を失った悲しみ、そして孤独感だ。アーサーをひとり家に残して行こうとすると、鳴いてしまって家を離れられない。それは胸の中で暴れまわる喪失感のことだろう。

 こんなシーンがある。

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 それを主人公に向かって言っちゃう。はいこれ確定、俺の発見したメタファーねこれ。メラニー・ロラン可愛すぎる。

 そして父の喪失感を埋めてくれるのは、彼女、メラニー・ロラン演じるアナだ。

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 しかし主人公はひとと付き合うことが下手なので、色々すれ違ってしまう。それは父の死を振りきれないからだ。二度ほど別れかけるのだが、一度目はとてもよいカットだったりする。深夜のホテルの、レストランでのシーン。

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 たくさんあるテーブルの中で2人が同じテーブルにいる。これは間違いなく群衆のメタファーでしょう。世界には沢山のひとがいて、2人は偶然おなじテーブルについた。別のテーブルに行くことなんか簡単だけど、でも2人は離れたくはない。このあと、主人公が「この関係が重荷なら……」とテーブルを去ろうとして、アナは「行かないで」と背中から抱き付く。そしていちゃつく。バカップルがよォ~! となるのだけどユアン・マクレガーメラニー・ロラン可愛すぎて参っちゃうね。お似合い。

 二度目も何とかなって、ちょっと離れていたんだけど、久しぶりに会うシーンがラストだ。このシーンもとても良い。まずアナが主人公の家を訪ねるところから可愛い。

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 メラニー・ロランめっちゃドキドキそわそわしてる! 少女かよ!? かわいい~。こんな細やかな演技も見れてしまうのはマイク・ミルズの雰囲気づくり、映画のリズムが効いてきているからだと思う。ゆったりした時間なのに飽きない映画って難しいよやっぱり。でもマイク・ミルズは構成でそれをカバーしている。その後の会話も、この映画の「総括」として、ふさわしい。

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 最後に、キスするときに手が中途半端なところにきちゃってかわいいメラニー・ロランの画像です。

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 お酒飲みながら画面を眺めるだけでも楽しめる映画だし、音楽も一貫した雰囲気を保っていて、それでも飽きないというのが、非常に良かった。映画史に残る一本になってもわるくないと思うのだけど……まあ映画詳しくないけど……。