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結果無職

がんば

一日の長さ

 今日はとても密度の濃い一日であった。

 起床が7:39で、9:00には大学。15時まで舞台の仕込みをしていた。

 2mの高さの足場を組み、階段を取り付け、梯子もつける。下っ端として働いていたが中々大変であった。久しぶりに舞台の作業が出来たので、良かった。しかし全く役に立たなかったので、役にたっている先輩たちに嫉妬をするばかりだった。

 畜生なんだってそんなに出来るんだ。どうせ使えない俺を裏では馬鹿にしているんだろう、畜生め。

 そう思ってどんよりしていると「腹びわくん疲れたねー大変だよね」と話しかけてくれたM先輩が隣で笑っていた。

「あー、いえ、僕はなんも」

「いやいや、助かってるよ~ありがと~」

「いえ、ほんと僕はもう、いえ……」

 正直、やめてくれ、と思った。何もしていない俺に「ありがとう」とか言わないでほしい。当てつけにしか聞こえないのだ。そしてそんなつもりなんてないだろうと言うことが判っていても、そう判断してしまう自分が相当嫌だ。真面目にまっとうに生きたいのになあ、と思っていると先輩は

「いやいや、腹びわくんが思ってる以上に助かってるからね」

 と、何もかも見透かしたようなことを言った。僕みたいな手合いは慣れているんだろうか? すこしその言葉を信じて元気になれた。

 

 事件はその少しあとに起こる。15:00には抜けさせてもらおう、と思っていると、14:50ごろにけが人が出た。

 組み立てた2mほどの舞台にはところどころ90cm×180cmの穴が開いていて、丁度その大きさの木の板を上からかぶせることによって、手間を最大限減らしていたのだが、それが仇となった。木の板を運んでいる途中に先輩が、不注意でその穴に落ちてしまったのだ。それもちょうど僕の目の前で。

 面白いなあ、と思ったのは、顔面から落ちていく先輩が、咄嗟にか、防御態勢をとりながら着地したのだ。しかし結局顔面は若干打ったようで、眼鏡がとんだ。先輩は起き上がらない。騒然となった。

 その間僕は、何も言わずぼーっとしていた。

 倒れた先輩に駆け寄る、また別の先輩。切羽詰った声で

「おい大丈夫か!?」

 などと言っていた。

 その声の調子が、まるで演技のようだったことがハッキリと覚えている。

 そしてそれが僕にはとても悲しく思えた。

 声をかけた先輩は演技で発したわけではないだろうその声を、演技みたいだ、なんて思っているのだ。きっと僕は何事にも現実味を覚えられない悲しい性分なのだ。上手くは言えないがそんな感じだ。

 

 そのあとは日本橋でCDを買った。金はもうぎりぎり無い。

 そしてとある劇団の稽古を見学させてもらった。うん。

 

 明日はのんびりとCDでも聴いていようと思う。